【トラブル多発】LPガスの「設備無償貸与契約」とは?違約金の仕組みを徹底解説
設備無償貸与契約とは?
「設備無償貸与契約」とは、ガス会社が給湯器・ガスコンロ・配管などの設備を無償で貸し出す代わりに、一定期間そのガス会社との契約を継続することを条件とする契約形態です。
実際には「無償」という言葉とは裏腹に、ガス料金に設備費用が上乗せされているケースが多く、契約途中で解約すると残存設備費用(違約金)が発生する点が大きな特徴です。
よくある設備無償貸与の事例
以下のような設備が「無償貸与」として提供されるケースが一般的です:
- ・ガス給湯器(16号〜24号)
- ・ビルトインコンロやテーブルコンロ
- ・LPガス配管(屋外・屋内)
- ・メーター・調整器・ホースなど付帯設備
これらの費用は、本来ならユーザーまたは大家が購入・設置すべきものですが、貸与契約により初期費用ゼロで導入できるメリットがあります。
なぜトラブルが起きやすいのか?
設備無償貸与契約は、その仕組みを正しく理解していないと、以下のようなトラブルが発生しやすくなります。
● 解約時に「突然高額な違約金」を請求される
→ 実は契約書の中に「残存償却費(未償却残高)」が明記されている場合があります。たとえば給湯器1台15万円を8年で償却するとして、4年目に解約すると約7.5万円の請求が来ることも。
● 貸与契約の存在を知らされていない
→ 入居時に「ガス会社指定」のみ伝えられ、契約内容の詳細説明がないケースも。これは景品表示法・消費者契約法に抵触する可能性があります。
● 大家や管理会社の判断でガス会社を変更できない
→ 実質的にガス会社を選べないことで、競争原理が働かず、割高な料金が継続されている可能性があります。
違約金が発生する仕組み
違約金の正体は、正確には「残存設備貸与費用(未償却分)」です。契約時に設備の耐用年数(償却年数)をもとに月割りで償却されており、解約時にその残額を一括請求される構造です。
【例】
- 給湯器価格:180,000円
- 償却期間:10年(120ヶ月)
- 1ヶ月あたり:1,500円(180,000 ÷ 120)
→ 5年(60ヶ月)使用して解約 → 残額は90,000円(1,500円 × 残り60ヶ月分)
このようにして高額な違約金が発生するケースが後を絶ちません。
確認すべき契約書のポイント
設備貸与契約の存在は、次のような書面に記載されていることが多いです:
- ・「ガス供給契約書」「LPガス供給約款」
- ・「設備無償貸与契約書」「機器貸与契約確認書」
- ・「ガス料金明細書」※設備利用料が含まれているケースあり
契約時に以下の点を必ず確認しましょう:
- ☑ 設備の償却年数と総額
- ☑ 解約時の精算ルール(中途解約金の有無)
- ☑ 他社へ変更できる条件・手順
トラブルを避けるためのアドバイス
- 契約書のコピーは必ず保管し、不明点は契約時に質問
- ガス会社の変更を検討する際は、事前に違約金の有無を確認
- 法的根拠が不明な請求は、消費生活センターに相談
特に引越しやリフォームでガス会社を変更する場合、トラブルが起きやすいため慎重な対応が求められます。
まとめ|「無償」の裏に潜む契約リスクに注意
設備無償貸与契約は、初期費用を抑えられる一方で、長期間の縛りや高額な違約金が発生する可能性を秘めています。
「無料だから安心」と思わず、契約の実態を正しく理解することが大切です。これから契約を結ぶ方や、すでに契約中の方も、今一度契約書を確認し、不利益を被らないよう注意しましょう。
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