「LPガスとプロパンガスって、結局何が違うの?」「ガス会社に聞いたら“同じです”と言われたけど、本当にそう?」
こんな疑問を持っている方は意外と多いのではないでしょうか。実際、日常会話では「プロパンガス」「LPガス」「ボンベ式のガス」など、さまざまな表現が使われています。ですが、その違いを正確に説明できる人は少ないのが現実です。
本記事では、LPガスとプロパンガスの関係・違い・誤解されやすい点・都市ガスとの違いとの比較・法的定義・構成成分・安全性・供給方式・料金など、あらゆる観点から徹底的に解説します。
結論から言うと、「LPガス」と「プロパンガス」は厳密には同じではありません。 その理由と、なぜ混同されやすいのかも解説していきます。
LPガスとプロパンガスの違いとは?
LPガス(Liquefied Petroleum Gas)は「液化石油ガス」の総称です。対してプロパンガスは、LPガスの中の一種(=成分)で、家庭用にはプロパンを主成分としたLPガスが使われているため、実際にはほぼ同義で使用されています。
用語 | 定義・意味 |
---|---|
LPガス | 液化石油ガスの総称(プロパン、ブタンなどを含む) |
プロパンガス | 家庭用LPガスとして使われる「プロパン(C3H8)」が主成分のガス |
つまり、「LPガス」という大きなグループの中に「プロパンガス」があるという構図です。「果物(LPガス)」の中の「りんご(プロパンガス)」のような関係に例えるとイメージしやすいでしょう。
【LPガスの種類】家庭用はプロパン、業務用・産業用はブタンも
LPガスにはいくつかの種類がありますが、一般的に使われているものは以下のとおりです。
- プロパン(C3H8): 家庭用・業務用として日本全国で広く使われている
- ブタン(C4H10): ライターやカセットコンロ用など、燃焼温度が低めの用途
- 混合ガス: プロパンとブタンのミックス。寒冷地や工業用途などで使い分け
家庭で「プロパンガス」と呼ばれているのは、正確には「プロパン主体のLPガス」であり、実際に使っている成分は純粋なプロパンではなく数%のブタンを含むこともあります。
なぜ混同されやすいのか?
混同される理由は大きく3つあります。
- 家庭用LPガスの主成分がプロパンであるため、名称が使い分けられていない
- 事業者や販売店が「プロパン」「LPガス」と表記を統一していない
- 日常会話で「LPガス?それってプロパンでしょ」と省略されることが多い
これらにより、ユーザーの中で「LPガス=プロパンガス」と思い込んでしまうのは自然なことです。
LPガスと都市ガスの違い
よくある誤解に、「LPガス=プロパン、都市ガス=天然ガス」という図式があります。これは正解ですが、それぞれの特徴を深掘りすると以下のようになります。
項目 | LPガス(プロパンガス) | 都市ガス(天然ガス) |
---|---|---|
主成分 | プロパン(C3H8) | メタン(CH4) |
熱量 | 高い(24,000kcal/m³) | 低い(11,000kcal/m³) |
供給形態 | ボンベによる個別配送 | 地下ガス管による供給 |
料金体系 | 自由料金制(業者により異なる) | 公共料金または準ずる制度 |
災害時対応 | 個別対応で復旧が早い | インフラ依存で復旧が遅れる場合も |
つまり、LPガス(プロパンガス)は独立したエネルギー源であり、都市ガスよりも災害時に強い、熱量が高い、供給の自由度が高いというメリットがあります。
LPガスとプロパンガスに関する法律・規格
日本では「液化石油ガス法(高圧ガス保安法の一部)」によってLPガスの製造・販売・保安管理が規制されています。
- 家庭に届けられるLPガスはプロパン主体でなければならない
- 供給者は点検・調査・事故対応の責任を負う
- ガス設備の定期保安点検が4年ごとに義務付けられている
また、ガス機器には「都市ガス用」と「LPガス用」の区別があり、誤って使用すると火災・爆発の危険があります。
ガス機器の違いに注意
同じ「ガス」であっても、LPガスと都市ガスは成分・圧力・熱量が異なるため、ガスコンロ・給湯器などの機器は互換性がありません。
引っ越し時やガス種の変更を伴う住宅購入の際には、以下の点に注意が必要です。
- ガス機器の型番を確認し、「LP用」または「13A(都市ガス)」であるか確認
- 変更する場合は専用部品交換または新調が必要
- 誤接続すると爆発事故につながる危険性あり
ガス種の違いは単なる「呼び方の違い」ではなく、命に関わる重大な違いであることを理解しておくべきです。
よくあるQ&A
Q1. LPガスとプロパンガス、どっちを選べば良いの?
家庭用としては、LPガス=プロパンガスなので、どちらを選ぶかという区別は基本的にありません。
「LPガス」とは「液化石油ガス」の総称であり、その中で一般家庭で使用されているのが「プロパンガス」です。したがって、家庭用ガスの選択肢としては、用語の違いによる実質的な選択肢は存在しません。
ただし、ガス会社や地域によって、LPガスに含まれる成分の比率(プロパン・ブタンの割合)が若干異なる場合はありますが、家庭用ではほぼプロパンガスに統一されています。
混乱しやすいのは、「都市ガス(天然ガス)」と「LPガス(プロパン)」の選択肢です。この点についての比較は別記事を参照ください。
Q2. 「プロパンガス料金が高い」のはなぜ?
LPガス(プロパン)は自由料金制で、供給業者ごとに価格差があります。価格交渉や業者変更によって月々のガス代を数千円節約できることもあります。
Q3. プロパンから都市ガスに切り替えられる?
切り替えにはガス管の整備・設備変更が必要で、コストや施工の可否に左右されます。集合住宅では不可能なことが多く、戸建て住宅で都市ガスエリア内であれば可能です。
まとめ
LPガス=プロパンガスではあるが、言葉の意味は異なる
- LPガスは液化石油ガス全体の名称で、プロパンはその中の一種
- 家庭用のLPガスの主成分がプロパンであるため「同じ」と言われる
- 成分・法的定義・ガス機器などの面では厳密に区別される
- 都市ガスとの違いを理解して、安全かつ効率的なガス利用を
「LPガスとプロパンガスは同じか?」という問いには、「用途によっては同じ、定義上は違う」というのが正確な答えです。
これを理解することで、ガス選び・機器選定・引っ越し・料金見直しなど、日々の暮らしに関わる重要な判断がより正確になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。この記事が皆さまの生活に少しでも役立てば幸いです。
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