【徹底比較】LPガスと都市ガス、結局どちらが安い?費用・利便性・安全性で見る選び方ガイド
公開日:2025年5月19日 | 執筆:エネルギーコンサルタント
はじめに|ガス選びで家計は大きく変わる
賃貸住宅や新築物件を選ぶ際、「LPガスか都市ガスか」という点は、意外にも見落とされがちです。
しかし、エネルギーコストは毎月発生する固定費。ガスの種類によっては年間で数万円単位の差が生じることもあります。
本記事では、LPガス(プロパンガス)と都市ガスを「費用」「利便性」「安全性」「災害時の強さ」など多角的に比較し、
ライフスタイルに合った選び方を専門的視点から解説します。
1. 費用の比較|都市ガスの方が平均的に安い?
■ 基本的な価格差
総務省の家計調査によると、都市ガスの1m³あたりの単価は平均120〜150円に対し、
LPガスは1m³あたり300〜600円と、2〜3倍近い差があるケースも存在します。
■ LPガスが高い理由
- 供給形態が個別配送であるため、人件費・輸送費がかかる
- インフラが全国に分散しているため、スケールメリットが小さい
- 自由料金制であるため、価格競争がうまく働かない地域がある
■ ただし「実は安くなる」ケースも?
実は、次のような場合にはLPガスの方が有利になることもあります:
- 都市ガスの配管が通っていない山間部や郊外住宅地
- 地域競争が活発で、ガス会社の切り替えが可能なエリア
- 省エネ型給湯器(エコジョーズ等)との組み合わせ
2. 利便性の比較|供給の安定性と柔軟性
■ 都市ガスのメリット
- 地中の導管で供給されるため、自動的に使える
- 使用量が自動で計測されるため、料金管理が簡単
- 一括で契約管理されるため、複数業者を比較する必要がない
■ LPガスのメリット
- 全国どこでも導入可能(インフラ整備不要)
- 競争原理により、ガス会社の切り替えによって料金が下がることも
- ガスボンベによる供給のため、災害時の復旧が早い
特に災害リスクが高い地域では、「地震で導管が破損する都市ガス」よりも「移動可能なボンベ式のLPガス」が強いとされ、
東日本大震災以降にLPガスへ移行する地域も見られます。
3. 安全性の比較|事故リスクは?
■ ガスの成分と性質の違い
都市ガス(13A)は空気より軽く、万が一漏れた場合には上方に拡散していきます。
一方、LPガス(プロパン)は空気より重いため、床や低所に溜まりやすい性質を持っています。
■ 安全対策が義務化されている
両者ともに、ガス漏れ警報器・遮断弁・供給停止機能が義務化されており、
近年では事故件数は大幅に減少しています。
特に2025年の法改正では、LPガスの設備貸与の適正化・三部料金制の導入により、
不適切な設置や不明瞭な契約が減り、安全性・信頼性の面でも都市ガスに近づいているといえます。
4. 契約自由度と切り替えのしやすさ
■ 都市ガス:契約の自由は低い
地域によって供給事業者が決まっており、基本的に「選ぶ自由」はありません。
料金も規制されている場合が多いため、安くするための選択肢は少ないのが現状です。
■ LPガス:契約者に選択権がある
LPガスは自由化されており、消費者がガス会社を自由に選ぶことが可能です。
特に戸建て住宅では、複数業者から見積もりを取り、安くてサービスの良い業者を選ぶことができます。
ただし、賃貸物件ではガス会社が固定されているケースが多く、
自由に選べないため、事前の確認が重要です。
5. 結論|あなたに合ったガスを選ぶ基準
最終的に「LPガスが良い」「都市ガスが良い」と一概には言えません。
ライフスタイルや住んでいる地域、契約条件によって最適解は異なります。
■ 都市ガスがおすすめの人
- 都市部に住んでおり、ガスのインフラが整備されている
- 使用量が多く、安定したコストで使いたい
- 選ぶ手間を省きたい(業者の比較不要)
■ LPガスがおすすめの人
- 郊外や山間部など都市ガスが通っていない地域
- ガス会社を選びたい/料金交渉ができる環境にある
- 災害時の復旧スピードを重視したい
まとめ
ガスは生活に欠かせないエネルギーですが、その選び方ひとつで家計のコスト・安全性・利便性が大きく変わります。
法改正が進みつつある今、ガス会社や契約内容を正しく理解し、納得できる選択をすることが重要です。
この記事を参考に、ぜひ一度、現在の契約や将来の引越し先について見直してみてください。
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