寒い季節に大活躍する石油ですが、シーズン中に使い切れなかった石油をどのように処分したらよいかご存じでしょうか?石油は保管状況や時間の経過によって酸化と変質をしてしまうため、基本的には1シーズンで使い切ることをおすすめします。
古くなってしまった石油を使用してしまうと、石油機器の故障だけではなく、思わぬ事故も発生してしまう恐れがありますので大変危険です。
しかし、思ったより暖かくなるのが早かったなど、思わず使いきれず冬を終えてしまうこともあるかもしれません。石油は自治体でも適切に処理することができないため回収を行っておらず、法律に従って各個人で処分・廃棄を行う必要があります。
では余った石油をどのように捨てたら良いのか?正しい石油の処分方法をご紹介したいと思います。
1.余った石油の正しい処分方法
石油はガソリンスタンドなどでも容易に購入できるものですが、処分となると廃油扱いとなり、環境省より「特別管理産業廃棄物」に指定されます。
特別管理産業廃棄物とは「爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する廃棄物」のことを指し、通常の廃棄物よりも厳しく規制されています。
当然、安易に庭や川などに捨ててしまうと、不法投棄となり厳しい罰則の対象となってしまいますので正しい処分方法が必要となります。これからご紹介する処分方法を参考に、自身にあった方法を選んでいきましょう。
ガソリンスタンドに持ち込む
余った石油はガソリンスタンドで処分してもらうことが可能です。
ただし、全てのガソリンスタンドで引き取りをしているわけではなく、廃油処理が可能なサービスステーションが決まっているため、持ち込む前に問い合わせをすることをおすすめします。セルフのガソリンスタンドは石油の持ち込みができないところが多いので注意しましょう。
また、購入した際のレシートが必要な場合や処分費用が発生する場合もあり、店舗によって料金も異なるので、各ガソリンスタンドのHPに記載されている情報を事前に確認しておきましょう。
エネオス
Q.劣化した石油を翌年使用したらどうなるの?冬場に使用した石油が残った場合や古い石油はどうしたら良いですか?
A.劣化した石油を使用すると正常燃焼せずに点火や消火不良を起こし、石油ストーブ、ファンヒーターのトラブルの原因になります。 そのため石油は翌年には持ち越さず、使いきる必要があります。余った石油や古い石油の処分については購入したSS・販売店にご相談ください。
参考サイト:エネオス公式ホームページ:よくあるご質問より(https://www.eneos.co.jp/faq/gasoline/)
コスモ石油
Q.古くなった石油の処理はどうすればいいのですか?
A.石油を捨てる場合は、廃油処理が可能な最寄りのサービスステーション等での処分が必要になります。 古くなった石油の廃棄につきましては、フルサービスのサービスステーションに処分をご依頼ください。(地域により事情が異なりますので、ご利用いただいているお近くのサービスステーションへお問い合わせください。)
参考サイト:コスモ石油公式ホームページ:よくあるご質問より(https://www.cosmo-energy.co.jp/ja/services/faq.html)
出光
Q.古くなった石油は引き取ってもらえますか?
A.サービスステーションによって事情が異なりますので、お近くのサービスステーションへお問い合わせください。
参考サイト:出光公式ホームページ:サービスステーション全般についてより(https://www.idemitsu.com/jp/contact/idemitsu/index.html)
不用品回収業者に依頼をする
不用品回収業者は石油の回収と廃棄も行っており、依頼すると自宅まで取りに来てくれます。ただし石油は危険物に該当する為、全ての不用品回収業者が対応しているわけではありませんので、業者のホームページなどで確認をしてみましょう。
また、廃棄費用や料金相場は業者によって異なり、石油単品での料金やトラックの積み放題のプランなど様々なパターンがあるため、比較して決めるといいでしょう。
石油のみならず、他の不用品もまとめて引き取ってもらえますので、季節の変わり目などに不用品の整理にも活用できます。中には直接、不用品回収業者への持ち込みで料金も変わる場合がありますので、確認してみましょう。
余った石油を使い切る
少量の石油であれば、処分する手間をかけるよりも使い切ってしまったほうが良いでしょう。
石油は夏の高温や日光、湿気などでも劣化が進みます。余ってしまうとどうしても「もったいない」「来年も使おう」という考えにもなってしまいますが、こうした条件下で保管しておくと、変質してしまい次の冬には使用できない状態となってしまいます。そこで処分するのが難しい場合は使い切るのも方法の一つです。
例えば梅雨時期の屋外に洗濯物が干せないときに、乾燥機代わりにストーブを使用する方法があります。石油を処理しつつも、乾きにくい洗濯物を乾かせるとなると一石二鳥です。湿気が多い中での自然乾燥ではなく、暖かい空気で干すので室内干しの嫌な臭いも発生しません。
その他
ホームセンターでも石油の販売をしている店舗がありますが、処分については基本的に承っておりません。大手のカインズホームやコメリなどでも引き取りはしていませんので、ガソリンスタンドか不用品回収業者で処分するのがおすすめです。
石油のやってはいけない処分方法
ゴミとして捨てる
余った石油を布や新聞紙で拭き取って一緒に捨てるのは基本的にNGです。ただし50cc~100ccくらいの少量であれば自治体によっては燃えるゴミとして捨ててもよい、というところもあります。
石油ストーブなどに給油をしようとして石油をこぼしてしまった、という場面もあると思いますので、自治体のHPを確認するか直接問い合せをしてみましょう。
土、川、下水などに捨てる
いずれも環境汚染となるため絶対に避けましょう。土については土壌汚染となり、一部土壌菌類の作用によって分解されるという情報もありますが、そもそも埋立処分基準に違反しているのでNGです。
川についても生態系が破壊されてしまうなど、水質汚染に繋がる事は言うまでもありません。
また石油は液体なので下水管に流せると考えるかもしれませんが、非常に危険なので絶対にやめましょう。下水管の中で気化する恐れや、石油の臭いがあがり悪臭被害が広範囲に生じる可能性、浄水ができない恐れなど周囲や施設に大きな損害を与える恐れがあります。
燃やす、凝固剤で固める
少量の石油であれば、庭などで燃やせるのでは?と考えるかもしれませんが、当然火事の危険性とリスクがあります。石油の性質として燃えやすく、燃え広がりやすい上に消化しづらいという性質を有するので、燃やして処分する方法は絶対に避けてください。自宅のみならず周囲の二次被害の可能性もあり危険です。
また食用油の廃棄方法として凝固剤で固めるという方法があります。凝固剤は加熱前提な上に、当然食用油と石油系の石油とでは性質が全く異なりますので絶対に使用はやめましょう。
石油が入っていたポリタンクの処分方法
石油用のポリタンクの寿命は、製造されてから5年とされています。本体に印字されている製造年月日を確認してみましょう。
また、石油の入っていたポリタンクは、自治体によって処分方法が異なります。どちらにせよ、中身がある状態だと処分が必要となりますので、使い切ってしまうかガソリンスタンドなどに持ち込みをしましょう。持ち込みした際にポリタンクごと処分してくれる場合もあります。
不用品回収業者に依頼をした際も対応が異なりますので、確認してみることをおすすめします。
その他、寒冷地の戸建住宅などに設置してある490Lホームタンクは業者に相談しましょう。もちろん当社でも交換・撤去・タンク洗浄の取り扱いがございますのでお気軽にご相談ください。
古い石油を使用するとどうなる?
古い石油は酸化して質が変化した「変質石油」や水やゴミが混ざった「不純石油」など、“不良石油“と呼ばれる状態になっている可能性があります。こうした古い石油を使うと、石油機器の燃焼不良、異常燃焼、着火不良、故障といったリスクが生じてしまいます。
予期せぬ事故やトラブルが発生することがあるため、使用しないように気を付けましょう。
石油ストーブなどの故障
古い石油を使用すると、石油ストーブやファンヒーターに不具合やエラーが生じ、故障の原因となります。経年劣化によって変質した石油は着火しない上に、もし機器の内部に入ってしまった場合は抜き取りの作業も発生してしまいます。
また、不純石油のまま使用すると、石油内の不純物が原因で部品の交換が必要になるなど、余分な費用も発生してしまいます。いずれにせよ古くなった石油を使用するのはリスクしかありませんので、毎シーズン新しい石油を用意して使用されることをおすすめします。
一酸化炭素中毒(CO中毒)の恐れ
古い石油を使ったことによって不完全燃焼となれば、一酸化炭素(CO)中毒を招く事故になりかねません。一酸化炭素は無色無臭で毒性が強い気体のため、ほんの少しでも吸い込んでしまうと気付かないうちに中毒になる危険があります。
異常燃焼をしている場合はすぐに使用を中止し、十分な換気を行いましょう。
古い石油の見分け方
まず正常な石油は無色透明で、不純物が混入しておらず独特な石油臭がするものです。
それに対し「変質石油」は黄味がかっていたり、酸っぱいような臭いがする場合があります。主に保管場所が高温であったり、直射日光があたる場所、1シーズンを持ちこしたり、水用(乳白色)のポリタンクに入れて保管していた石油は要注意です。
また、「不純石油」は石油にゴミや水、虫の死骸などが混入してしまっているものを指します。ゴミや虫は沈殿し、水は分離して目視で確認できますので見分けがつきやすいです。
石油を取り扱う際の注意点
最後に石油を取り扱う際の注意点として、石油の性質も理解しておきましょう。まず石油の原料は原油で石油やガソリン、軽油などは石油由来製品と呼ばれます。
原料の「原油」はそのままでは燃えることができません。そのため石油製品として加工されてから石油、ガソリン、軽油として使用できます。石油もガソリンも原油が原料なので、原油価格そのものが石油やガソリンの価格に大きく影響しています。
続いて石油の性質ですが、石油は第2石油類に分類され性質は次のような点があります。
・引火点は40℃以上
・常温では自然発火はしない。(ただし霧状など条件下によっては引火の危険性も有)
・揮発性がある
・臭いがある
・水に溶けない
・無色または淡紫黄色
・硫黄分が少ない
基本的に常温では発火しないものの、揮発性があり引火点が40℃なので火気近くでの使用は厳禁です。
また石油は扱う際にこぼしてしまったり、肌に付着することもあるかと思います。肌についたまま放置してしまうと石油皮膚炎と呼ばれる火傷に似た症状が生じますので、すぐに石鹸などで洗い流しましょう。
服などに付着した場合はすぐに処置しないとシミになる恐れがあります。洗面器やバケツなどの容器に40℃くらいのお湯を入れ、食器用洗剤でつけ置きした後、お湯を変えながら優しく揉み洗いをしましょう。
まとめ
石油はストーブやボイラーの燃料として欠かせないものですが、処分方法や使用方法を誤ると大変危険なものです。しかし、古くなってしまったり、保管はしていたけれどいつの石油か分からなくなってしまったという状況もあるかと思います。
その場合「もったいない」と感じるかもしれませんが、先に述べた通り、古い石油を保管しておくメリットはありませんので、使いきれずに残ってしまった石油は適切に処分することが大切です。
寒い季節になくてはならない石油ですが安心・安全に、そして温かく乗り越えるためにも新しい石油を用意して快適に過ごしていきましょう。
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