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「なぜ戦争で灯油が高くなるの?」子どもに説明できる記事

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「ねえ、なんで戦争が起きると灯油が高くなるの?」子どもにそう聞かれて、うまく答えられなかった経験はありませんか?大人でも意外と説明が難しいこのテーマを、この記事ではできるだけわかりやすい言葉とたとえ話を使って解説します。小学校高学年のお子さんから中学生、そして「実は自分もよくわかっていなかった」という大人の方まで、一緒に読んでいただける内容になっています。

まず「灯油はどこからくるの?」を知ろう

灯油のことを理解するには、まず「灯油はどこからくるのか」を知ることが大切です。

私たちが冬に暖房で使う灯油は、「原油(げんゆ)」という液体から作られます。原油とは、地面の深いところに何百万年もかけて自然にできた黒っぽい液体のことです。この原油を工場(製油所)で加熱・分解すると、ガソリン・軽油・灯油・プラスチックの原料など、いろいろな製品に分けることができます。私たちが使う灯油は、この原油を加工して作られたもののひとつです。

では、原油はどこでとれるのでしょうか。世界の原油の多くは「中東(ちゅうとう)」という地域でとれます。中東とはサウジアラビア・イラク・イラン・UAE(アラブ首長国連邦)などの国々が集まっている、アジアとアフリカの間にある地域のことです。日本が使う原油の約90%は中東から輸入しています。日本では原油がほとんどとれないため、遠い中東から船(タンカー)で運んでもらっているのです。

「原油はお米と同じ」と考えるとわかりやすい

原油と灯油の関係が少しわかりにくいという方のために、お米にたとえて考えてみましょう。

原油は「お米(玄米)」のようなものです。そのままでは食べられませんが、精米・炊飯という加工をすることでごはんになります。灯油はこの「ごはん」にあたります。お米の値段が上がれば、ごはんの値段も上がりますよね。同じように、原油の値段が上がれば、灯油の値段も上がります。

そして日本は、このお米(原油)をほぼ全部、遠い外国(中東)から買っています。だから中東で何か大きな問題が起きると、日本の灯油の値段にも影響が出るのです。

戦争が起きると、なぜ原油が足りなくなるの?

「中東で戦争が起きると原油が足りなくなる」と聞いても、どうしてそうなるのかイメージしにくいですよね。順番に説明していきましょう。

理由1:原油を作る工場が動かせなくなる

戦争が起きると、原油をくみ上げる設備や工場(石油施設)が攻撃されたり、働く人が避難して工場が止まったりします。工場が動かなくなると、原油の生産量が減ります。原油がとれる量が減れば、それを加工して作れる灯油の量も減ります。

たとえるなら、みんなが大好きなお米を作る農家さんが、台風や大きな被害で田んぼを作れなくなってしまったようなものです。お米の量が減れば、ごはんの値段が上がりますよね。それと同じことが原油でも起きます。

理由2:原油を運ぶ道が通れなくなる

中東でとれた原油は、タンカーという大きな船に積まれて日本まで運ばれます。その途中に「ホルムズ海峡(かいきょう)」という、とても重要な海の通り道があります。

ホルムズ海峡は、幅が約50キロメートルしかない狭い海峡ですが、世界中の原油タンカーの約20%がここを通っています。イランという国がこの海峡のすぐそばにあり、イランが戦争になると「この海峡を通ってはいけない」と封鎖(ふうさ)してしまう可能性があります。

これを道路にたとえると、日本全国のスーパーに食料を運ぶトラックが必ず通る「大切な一本道」が突然通行止めになってしまうようなものです。食料が届かなくなれば、スーパーの食料品の値段は一気に上がりますよね。ホルムズ海峡が閉じられると、日本に届く原油が激減し、灯油の値段が大幅に上がってしまうのです。

理由3:「もしかしたら足りなくなるかも」という不安だけで値段が上がる

少し難しい話ですが、実際に原油が足りなくなっていなくても、「足りなくなるかもしれない」という不安だけで値段が上がることがあります。

これを理解するのに、ゲームソフトのたとえが役に立ちます。「今度の新しいゲームソフトは数が少ないらしい」というウワサが広まっただけで、発売前からフリマサイトの予約価格が上がることがありますよね。実際に品切れになっていなくても、「なくなる前に買わなきゃ」という人が増えて値段が上がるのです。

原油市場でも同じことが起きます。戦争のニュースが流れると、世界中の人たちが「これから原油が足りなくなるかもしれない」と不安になり、原油を先に買おうとします。その結果、実際には原油の量が変わっていないのに値段だけが上がってしまうことがあるのです。

「円安(えんやす)」も灯油を高くする理由のひとつ

もうひとつ、少し難しいですが大切な話をします。それが「円安(えんやす)」です。

原油は世界中でドル(アメリカのお金)を使って売り買いされています。日本が原油を買うときは、まず円をドルに両替してから支払います。このとき、円の価値が下がる(円安になる)と、同じ量の原油を買うために、より多くの円を用意しなければなりません。

たとえるなら、海外旅行でお土産を買うとき、出発前より円安になっていると同じものを買うのに余分にお金がかかるのと同じです。そして戦争などの世界的な不安があると、投資家(お金を運用している人)たちがドルなどの安全なお金に乗り換えようと円を売るため、円安が進みやすくなります。原油の値上がりと円安が同時に起きると、日本の灯油価格はさらに上がりやすくなるのです。

戦争のニュースから灯油が高くなるまでの流れ

戦争のニュースが出てから、実際に近所のガソリンスタンドの灯油価格が上がるまでには時間がかかります。その流れを順番に見てみましょう。

  • ① ニュース当日〜数日:世界の原油市場で先物(将来の原油を今の価格で買う約束)の値段が急に上がる
  • ② 1〜3週間後:中東を出発したタンカーが日本に到着し始める
  • ③ 2〜3週間後:石油会社が「仕入れ値が上がった」として、業者向けの卸売(おろしうり)価格を上げる
  • ④ 2〜4週間後:ガソリンスタンドや宅配業者が灯油の小売価格を値上げする

つまり、戦争のニュースが出てから私たちが買う灯油の値段が上がるまでに、だいたい2〜4週間かかります。「ニュースを見てから早めに動けば、値上がり前の安い価格で買える可能性がある」というのはこのためです。

昔はどんなことがあったの?:過去の事例を見てみよう

「戦争や紛争で本当に灯油が高くなったの?」と思う方のために、過去の出来事を簡単に紹介します。

1973年:第一次オイルショック

1973年に中東で戦争が起き(第4次中東戦争)、中東の産油国がアメリカなどへの原油の輸出をやめてしまいました。その結果、世界中で原油が一気に足りなくなり、原油の価格がわずか数か月で約4倍にも跳ね上がりました。日本でも灯油が店から消え、ガソリンスタンドに長い行列ができ、トイレットペーパーまで買い占められる社会的な混乱(パニック)が起きました。この出来事を「オイルショック」と呼び、日本の経済に大きな打撃を与えました。

2022年:ロシア・ウクライナ戦争

2022年にロシアがウクライナに侵攻しました。ロシアは世界有数の原油を輸出する国であったため、多くの国がロシアへの制裁(罰則として取引を禁止すること)を行い、ロシアからの原油が市場に出回らなくなりました。その結果、原油価格が1バレル(約159リットル)あたり130ドルを超えるまで急上昇し、日本でも灯油が1リットル120〜130円台という高値になりました。

まとめ:「戦争で灯油が高くなる」理由を3つで説明しよう

難しい話が続きましたが、最後にポイントを3つにまとめます。これを覚えておけば、友達や家族にも説明できます。

  1. 原油をつくる工場が止まる:戦争で産油国の原油生産が減ると、灯油の材料が足りなくなって値段が上がる
  2. 原油を運ぶ道が使えなくなる:ホルムズ海峡などの輸送ルートが危なくなると、日本に原油が届かなくなって値段が上がる
  3. 「足りなくなるかも」という不安で値段が上がる:実際に足りなくなっていなくても、市場の不安だけで先物価格が急騰することがある

遠い中東の出来事が、自分の家の灯油代に影響するなんて不思議に思えますよね。でも日本は原油の約90%を中東に頼っているため、中東で起きることが日本の家庭の暖房費にダイレクトに影響するのです。世界のニュースを「自分の生活」というフィルターを通して見る習慣をつけることが、これからの時代を生き抜くための大切な力になります。

大人向け補足:子どもへの教え方のコツ

この記事を読んでくれた親御さんへ、お子さんへの説明に使えるひと言メモをご紹介します。

  • 小学校低学年向け:「遠い国でとれる油から灯油が作られていて、その国で戦争が起きると油が届かなくなって値段が高くなるんだよ」
  • 小学校高学年向け:「日本は原油を中東から船で運んでいるけど、戦争でその道が通れなくなると量が減って値段が上がるんだ」
  • 中学生向け:「原油の需要と供給のバランスが崩れると価格が上がる。有事はそのバランスを一気に崩す出来事だよ」

子どもが世界情勢に興味を持つきっかけとして、「灯油の値段」という身近な題材は非常に有効です。ぜひご家庭での会話のきっかけにしてみてください。

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